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ヒッチコック映画自身 (リュミエール叢書)ヒッチコック映画自身 (リュミエール叢書)
出演:
筑摩書房
発売日




文章家ヒッチ 2004-07-20
ヒッチコックが書いた文章およびインタヴュー記事を、
シドニー・ゴットリーブというサクレッド・ハート大学の教授が編纂したもの。
ヒッチコックがこれほどたくさんの文章を残していたとは驚きである。
その文章はウイットとヒューマーに富んでいて、
彼が文章家としてもなかなかのものであることを示している。
もっとも、編者によれば、ヒッチコックは多くのゴーストライターを抱えており、
自筆ではないものもあるであろうとのこと。
「レベッカ」以降のハリウッドで撮った作品を題材としたものも数編あるが、
文章の多くは 1930 年代のイギリス時代に書かれたものである。
したがって、題材として取り上げられている作品の殆どはイギリス時代の作品である。
サイレントからトーキーに転換する時代であるので、
映画における音の役割に関しての考察も繰り返し述べられている。
ヒッチコックにとっての映画は決して何かのメッセージを伝えようとするものではなく、
「動く絵 (モーション・ピクチャー) 」という極めて普遍性の高い媒体を用いて、
観客を楽しませたいのである、ということを様々な観点から力説している。
そのために彼が用いた種々の映画的テクニックは今もその鮮度を失っていないが、
あらためてその背景となる解説を読むと、
彼が如何に深く計算して個々のシークエンスを構築しているかが解かる。
一部の実験的作品に用いられているテクニックを除けば、
映画の文法 (彼の言葉を借りればシンタックス) は既に 1940 年頃までには完成していたようだ。
CG や VFX を駆使した最近の映画のシンタックスも、
60 年前に撮られた「レベッカ」に於るそれと基本的には差がない。
しかし数十年後にどちらが残るかといえば、後者であるのはほぼ間違いない。
やはり、彼は偉大なフィルムメイカーであった。
ヒッチコックに関する書籍としては、「映画術 --- ヒッチコック/ トリュフォー」が有名であるが、
本書はそれを補うものとして興味深い。
鈴木圭介氏の翻訳もよくこなれていて読みやすい。良書である。


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